千利休の茶室「待庵」国宝として現存する千利休の茶室は何が特徴的なのか?
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現代にも続いている侘茶を完成させたと言われる茶聖 千利休。千利休はお茶の世界にどんな革命をもたらしたのでしょうか?
今回は、千利休の茶室の特徴、そして千利休の茶室はどこにあるのかをまとめていきます。
目次
千利休の茶室の特徴
千利休は侘茶の精神を追求し、茶室を独自の様式として確立させました。
【千利休の茶室の特徴】
- 入り口が異常に低く入りづらい
- とにかく狭い(約2畳)
- 暗めの室内
- 余計な装飾などはせず、とにかくシンプルな空間デザイン
・入り口が異常に低く入りづらい
千利休の茶室の入り口は、非常に低く設計されており、入りづらいものです。
当時、武士は刀を置き、頭を下げて入室しなければなりませんでした。
「茶湯の前では皆平等」の精神がこの入り口に現されています。
躙口と呼ばれるこの入り口は、現代の茶室では一般的になっています。
・とにかく狭い(約2畳)
千利休の茶室で、現存する唯一の茶室「待庵」は、茶席は2畳、次の間と勝手の間を含んだ全体の広さが4畳半程度と、非常にコンパクトな建物です。
豊臣秀吉もこの狭い茶室に魅せられ、大阪城内にも2畳の茶室を作ったと言われています。
・暗めの室内
千利休は、明るさこそ茶湯の空間にとって大事だと考えていました。明るすぎず暗すぎず、ほのかな暗さを大切にしていました。
客人が入室し、入り口のドアを閉めると、窓から入る微かな光が障子を通して入るのみの、ほの暗い室内で、落ち着いた空間を演出していました。
・余計な装飾などはせず、とにかくシンプルな空間デザイン
千利休は豪華絢爛なものを好まず、非常にシンプルなものを追求していました。
その精神は、茶室にも現されており、壁も仕上げ塗りを施さず、黒ずんだ荒壁仕上げで、天井や柱なども廻り縁が表面に見えないように土で塗った程度のシンプルな空間でした。
また、天井も一般的な掛け軸がかけられないほど低く設計されています。
千利休が設計した茶室は、現代にも受け継がれています。利休は茶湯の確立と共に、茶室の基礎も確立していたことになりますね。
千利休がもたらした茶室の革命
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千利休は、待庵に象徴される茶室をつくり、その茶室で織田信長や豊臣秀吉など、数々の客人をもてなしました。
千利休の作った茶室は、室町時代までに象徴される広くて明るく、煌びやかな茶室とは全く真逆の、狭くて薄暗い造りです。
そのため、茶室の中では客人同士の距離も近く、密談などにも使用されていたようです。いつ戦いが始まるかわからない時代だからこそ、茶室の中だけはゆったりと安心して過ごしてほしいという、利休の願いが感じ取れますね。
千利休がつくった茶室は、現代にもつづく茶室の基礎となっています。
千利休がつくった茶室はどこにある?
千利休がつくったとされる茶室は、2つあります。
一つは、豊臣秀吉の命によって設計したと言われる黄金の茶室
もう一つは国宝に指定されている待庵です。
黄金の茶室は、当時としても非常に斬新な組み立て式の茶室のため、現存していません。
一説には、千利休は30種類以上の茶室の設計を行い、全国に利休がつくったといわれる茶室はありますが、そのほとんどは利休の没後につくられたようです。
妙喜庵にある国宝「待庵」
千利休のつくった茶室として、現存している唯一の茶室「待庵」は、、京都の妙喜庵にあります。この待庵は、1582年(天正10年)山崎の戦いの際に、豊臣秀吉が移築したと寺伝されています。
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妙喜庵
住所:京都府乙訓郡大山崎町大山崎小字龍光56
定休日:月曜日・水曜日 12月下旬〜1月中旬
拝観料:1人あたり1,000円
問合せ:075-956-0103
待庵は一般公開されていますが、拝観するには1ヶ月前までに往復はがきにて予約する必要があります。詳しい情報は、直接お問合せください。
*現在、新型コロナウィルスの影響で、拝観は休止されています。
再開の日程に関しては、こちらのサイトで公開されるようです。http://www.eonet.ne.jp/~myoukian-no2/index.html
まとめ:千利休の茶室にはいろんなこだわりが詰まっていた
今回は、千利休の茶室の特徴、現存する国宝「待庵」についてまとめてきました。
今回の内容を簡単にまとめると、
- 千利休は、現代に続く茶室の基礎を確立していた
- 千利休のつくった茶室は、待庵と黄金の茶室のみ
- 国宝「待庵」は、現在もその姿をみることができる
侘茶の精神を追求し、その精神をしっかりと詰め込んだ千利休の茶室「待庵」。千利休が亡くなったあとも、弟子たちに引き継がれ、現代の茶室の基礎となっています。